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  •  平成25年6月26日(水) 
     
     伊佐市(いさし)八幡神社(はちまんじんじゃ)」と墨書(ぼくしょ)文字(もじ)
      本県(ほんけん)国指定(くにしてい)重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定されている建造物(けんぞうぶつ)10(けん)の中で,一番(いちばん)最初(さいしょ)昭和(しょうわ)24年)に指定されたのが,伊佐市大田(おおた)にある「八幡神社本殿(ほんでん)」です。本殿は,柿葺(こけらぶき)屋根(やね)木造建物(もくぞうたてもの)で,過去(かこ)改修工事(かいしゅうこうじ)が行われたものの,500年以上(いじょう)もその原型(げんけい)をとどめている貴重(きちょう)なものです。
     さて,本殿を見上げながら一周しますと,屋根下に8つある
    頭貫(かしらぬき)木鼻(きばな)()ばれる部分(ぶぶん)うち,1つだけ上部(じょうぶ)()()られているのに気付(きづ)きます。その切り取られた部分は,本殿内で大切(たいせつ)保管(ほかん)されております。何故(なぜ)でしょう。
     
    (じつ)は,この裏側(うらがわ)には,ある文章(ぶんしょう)(すみ)で書かれており,解読(かいどく)すると,「施主(せしゅ)大変(たいへん)けちだったので一度(いちど)焼酎(しょうちゅう)()()ってくれなかった とてもがっかりした」という内容(ないよう)でした。これらの文字は,埋文(まいぶん)センターの赤外線写真(せきがいせんしゃしん)でよりはっきりと見ることができます。
     今からおよそ450年前に,本殿
    修理(しゅうり)(たの)まれた大工(だいく)が,施主に(たい)して書いた愚痴(ぐち)のようです。注目(ちゅうもく)すべき(てん)は,その「焼酎」という文字が永禄(えいろく)2年(1559年)という年号(ねんごう)とともに,はっきりと書かれてあるということです。現段階(げんだんかい)では,これが文献(ぶんけん)として(のこ)っている最古(さいこ)の「焼酎」という文字ではないかと言われおり,鹿児島(かごしま)名産(めいさん)の一つである「焼酎」が,当時(とうじ)一般的(いっぱんてき)使(つか)われていた言葉(ことば)であることが分かります。
     こうした
    落書(らくがき)のようなものは,全国的(ぜんこくてき)結構(けっこう)見つかっているのですが,このように歴史資料(れきししりょう)()()るものは大変貴重であり,建物と(あわ)せて,まさに「珠玉(しゅぎょく)一品(いっぴん)」と言えるでしょう。
                   
    参考文献(さんこうぶんけん)「かごしま文化財事典(ぶんかざいじてん)」鹿児島県教育委員会発行(きょういくいいんかいはっこう)(平成14年)
         
    八幡神社本殿
    (〇の部分が切り取られた木鼻)
    切り取られた木鼻部分 墨書がある木片(もくへん)